従来の耐熱塗装の常識を打ち破る
1000℃を超える耐熱性と強靱な耐薬品性
高温のエキパイを美しく守ります!
エキパイやマフラーはエンジンの性能を引き出す重要なパーツです。特にネイキッドタイプのバイクにとって、エキパイのデザインは大きな見せ場のひとつです。
カーベックのセラトップEXは、1000℃オーバーの耐熱性とガソリンやパーツクリーナーに冒されない耐薬品性によって、従来の耐熱塗料の常識を完全に覆したセラミックコーティングです。
ご注意:ステンレス、チタンには不向きです。
開発ストーリー
そもそも「耐熱」とは何度以上なの?
定義が難しい耐熱塗料の話
バイクのパーツの中でもっとも高温になるのは、エンジン内部で爆発的に燃焼する混合気にさらされるピストンや排気バルブです。そんな燃焼室から吐き出される排気ガスの温度は自然吸気エンジンでもアイドリング中で300℃、サーキットなどで全負荷走行を行うと800℃以上に達すると言われており、その熱の影響をまともに受けるエキゾーストパイプは500℃近くまで上昇することもあるらしいです。そんな状況になるのは限定的ですが、街乗り用の大排気量車では150℃近くに達することも珍しくありません。
主にバイク用として市販されている耐熱塗料には、200℃タイプと600℃タイプの2種類があるようですが、ユーザーさんが「マフラーをペイントするから耐熱塗料が必要」という際の「耐熱」とはどの程度の温度をイメージしているのでしょうか? 私たちにも「ガンコートはエンジンの放熱性を高めるのだから、耐熱塗料として使えますよね」という問い合わせがあります。しかし漠然と耐熱塗料と言われても、どの程度の温度で使用するのかが明確にならないと、はっきりとした返答はできません。
ガンコートの場合、およそ350℃までの温度には耐えられるので、シリンダーヘッドの排気ポートを塗装することはできます。その点では耐熱と言えるかもしれませんが、さらに高温になるエキパイを塗装すると短期間で塗膜が劣化してしまいます。
ラッカーやウレタン、ガンコートやパウダーコートといった塗料は、どれも主成分に樹脂が含まれています。そして乾燥時に熱を加えることで溶剤を揮発させつつ樹脂を固めて塗膜として形成します。しかしほとんどの樹脂は高熱で溶けてしまいます。樹脂が溶解、炭化するまでの温度には耐えますが、それがユーザーさんが求める温度かどうかは一概には判断できません。
そのため、耐熱塗料と謳っていても高温で塗膜が剥がれたり定期的な塗り直すのが当たり前、ユーザーもそういうものだと納得して使う風潮がありました。私たちはそうした常識を覆し、圧倒的に高温耐久性に優れた塗料の製品化に取り組んだ結果「Cera Top(セラトップ)EX」を完成させたのです。
独特な塗装方法と常温乾燥で
エキパイの高温にも余裕で耐えます
通常の塗料に含まれる樹脂では、300℃以上になるエキゾーストパイプの温度には耐えきれません。そこで600℃クラスの耐熱塗料は、高温下の安定性に優れたシリコーン系樹脂を主成分としています。
これに対して私たちのセラトップEXは、陶磁器やガラスに代表されるセラミックを主成分としています。そのため樹脂のように溶けたり燃えることがなく、1000℃を超える温度でも塗膜がダメージを受けることはなく、耐熱塗料と謳う製品の中でも高温耐久性は群を抜いているのです。
1液性のセラトップEXには独特のアンモニア臭があり、これを溶剤として活用してセラミック成分と顔料で着色しているはずです。この原材料を開発した海外の塗料メーカーが詳細な成分までは明らかにしてくれないため、私たちにも分からない部分があるのです。製品安全データシート(MSDS)では読み切れないシークレットがあるのでしょうが、おそらくこの性能にたどり着くまでに相当の開発を重ねてきたのでしょう。
しかし私たちはこのメーカーと直接コンタクトを取り、セラトップEXとして製品化する中で、施工方法について具体的な指導を受けることができました。実際のところ、一般的な塗料の感覚で塗装を行うと、かなりの割合で失敗してしまうのです。
セラトップEXは発売以来とても好評ですが、ユーザーから「乾燥中に塗膜が割れる」という報告が何件かありました。
これに対して私たちは、
1.塗装時はφ0.4~1.0mmの小口径スプレーガンを使うこと
2.一度に厚塗りせず、薄めに重ね塗りすること
3.1回塗ってから2回目を塗り重ねる際に時間を空けすぎないこと
4.重ね塗りは3回程度で決めること
5.乾燥は常温で、最低でも5日間は行うこと
という5項目をお願いしており、それによって大半の塗装不良は改善しています。
正直にいえば、セラトップEXは塗料の中でも結構デリケートな部類に入ると思います。特に薄く塗り重ねる際の時間(セッティングタイム)は、用心をして時間を空けすぎると塗膜が割れやすくなるという、通常の塗料とは逆の傾向が出ます。また耐熱塗料だから乾燥時に熱があった方が良いだろうと加熱すると、塗膜が割れてしまいます。5日間以上の自然乾燥を要求することから考えると、酸素硬化型の原材料を使っていると考えられます。この材料は時間経過によって酸素と結合していくので、熱で溶剤成分だけを揮発させても酸素不足により硬化不良を起こすのでしょう。
しかし決められた条件さえ満たしていれば、塗膜性能に文句の付け所がありません。エキパイの温度が上昇しても表面にツヤが出たり、逆にツヤがひけることもなく、汚れたエキパイをパーツクリーナーで拭いても色が落ちることはありません。メッキ仕上げのマフラーでもテストしましたが、セラトップEXはメッキ表面にもしっかり密着しました。
薄塗りでも色の止まりが良く、目安として100~150ccで4気筒のフルエキゾーストが塗装できるためリーズナブルです。つまりセラトップEXはエキパイに特化した塗料であり、エキパイやマフラーの塗装を行う際には是非お勧めしたい製品です。
ご注意:ステンレス、チタンには不向きです。
塗装設備
- サンドブラスト
- サビ落とし、旧塗膜剥離、塗装前足付けなど、必須アイテムです。
- スプレーガン
- ウェットに吹かないためにも、0.4~1.0mm口径のガンを推奨します。
施工の流れ
- 下準備
- 塗装対象物の旧塗膜を剥離し、足付け作業をおこないます。
- 塗装準備
- シンナーなどを用いて脱脂します。
- 塗 装
- 基本的には、3回程度の塗り重ねをおこないます。
- 常温硬化
- 完全硬化に至るまでは、少なくとも5日間以上を要します。