専用化成処理液+専用プライマーの二工程で
再塗装が難しいマグネシウムの下地は完璧!
上塗りはパウダー・ウレタンのどちらもOK
高性能マシンに欠かせないマグネシウム部品は手入れが悪いと短期間で腐食し、再塗装も密着しづらいのが難点です。私たちが提供する「マグリコート」は、専用の化成処理液で腐食しやすいマグネシウムの活性を抑え、空気中の酸素や水分を遮断するプライマーでマグネシウムの表面を保護する「再塗装前下処理サービス」です。
マグネシウムの酸化を防止する表面処理は
放電陽極酸化処理がベストです
カスタムパーツやレース用部品の材料に使われるマグネシウムは、金属の中でもっとも比重が軽いことが特長です。他の金属と比重を比較すると、マグネシウム1.7、アルミニウム2.7、チタン7.1、鉄7.9となりその差は圧倒的です。また比重に対する強度や密度もアルミより高いため、同じ体積の部品を製造しても軽く仕上がります。しかしマグネシウムはとても酸化しやすく手入れが悪いと短期間で腐食します。原子番号ではアルミニウムと隣同士にも関わらず、空気中での安定性には大きな差があります。時々ニュースで報道されることもありますが、マグネシウムを研削した切粉が一カ所に集まると爆発的に燃焼します。また防錆処理を施してあっても、経年劣化によって性能が低下すると、酸化はどんどん進行してしまいます。マグネシウムはアルミニウムや亜鉛を添加した合金として活用されますが、ビンテージのマグネシウムパーツの塗装を剥離したところ、塗膜の下が虫食い状態に腐食してボロボロだった……というのはよくある話です。
マグネシウムパーツの再塗装は、私たちも頻繁に相談を受ける項目のひとつです。しかしこれまでは、自信をもって再塗装を受けることができませんでした。その理由はマグネシウムは酸化が旺盛なだけでなく、塗装が非常に難しいためです。実際には「酸化力の強さ」と「塗装が難しい」ことは連動しており、どれだけ注意深く下地処理を行っても、塗膜の下で酸化が進行してマグネシウムの表面がとても活性になっているため、一度は密着したように見えた塗膜が簡単に浮いて剥離してしまうのです。金属への密着性の高さが自慢のガンコートでも同様です。
酸化しやすい=酸性の環境が良くないのは当然ですが、中性でも酸化は進みます。唯一マグネシウム単体ならアルカリ環境下で安定しますが、マグネシウム合金になるとここに含まれるアルミニウムがアルカリを嫌うため、結局はアルカリ状態に置くこともできません。
そこで工業界でマグネシウムの酸化腐食を抑制するために用いられるのが「放電陽極酸化処理」という表面処理手法です。これは概念としてはアルミニウムに対するアルマイトと同様で、アルカリ性の水槽の中に沈めたマグネシウムパーツに対して電解処理によって強制的に酸化皮膜を形成し、大気中の酸素から遮断することを目的としています。ただしアルマイトと違って、電解処理に大電流を必要とするため、個人レベルでできる処理ではありません。また長い処理時間が必要で作業効率を上げられないため、コストがかさみます。さらにマグネシウムパーツにスチールやステンレスの部品、例えばコイル状の雌ねじが組みこまれれていると、電解処理で溶解するという難点もあります。
工業用技術をダウンサイジングするのが私たちの得意技ですが、さすがに放電陽極酸化処理のスケールダウンは難しいと判断し、化成処理による下地処理に切り替えて研究開発を続けました。
放電陽極酸化処理に匹敵する
化成処理液で酸化を抑制します
「化成処理」と一口にいっても、私たちは化学製品メーカーでも塗料メーカーでもないので、具体的な成分や製造方法が分かるわけではありません。ただ、自分たちで独自の製品を開発する中で、さまざまな専門メーカーの研究者や技術者とのネットワークは構築できていたので、私たちのニーズを伝えて、それに適した化成処理液を一から開発しました。どこかに既に似たような製品があれば効率良く進むのですが、マグネシウムの化成処理はマグネシウム製品を開発製造するメーカーと化学薬品メーカーが一体となって開発しているため、いわゆる民生品として世に出ているものはありません。
またバージン材で製造される新品製品と、すでに酸化が進行している中古品では、マグネシウムに対する最適な反応も異なりますし、ピンからキリまで千差万別のコンディションに安定して使える汎用性を持たせるには、仕様を変えながら何度もテストを行う必要がありました。
私たちのオーダーに対して実際に頑張ってくれたのは化成処理メーカーですが、カーベックオリジナルのマグネシウム用化成処理液がようやく完成しました。水溶液タイプの処理液に漬け込むと、薬品とマグネシウムが化学的に反応して黒色の被膜を作ります。これは塗装のようにパーツの表面に載るものではなく、表面から内部に浸透することでマグネシウムの活性を抑制して酸化の進行を抑えます。ここまではアルマイトと似た原理ですが、アルマイトと違ってマグネシウムの化成処理被膜には硬さがありません。そこで被膜の上からマグネシウム専用に作ったエポキシプライマーでがっちり固めて下地を作ります。
つまり
1.マグネシウム専用化成処理
2.マグネシウム専用エポキシプライマー
の二段構えで酸化を抑えつつ上塗りの下地作りを行うというわけです。
そして私たちはこの作業を「マグリコート」という新たなサービスとして提供することにしました。
当初はカーベックで、この「マグリコート」の施工をしていましたが、現在はカーベックではおこなっておらず、下記の施工店様にて承っております。
-
北海道
小樽ラヂエーター工業株式会社 様※お問い合わせはメールかLINEにて
-
静岡県
株式会社昭盛工業製作所 様※お問い合わせは函南ファクトリーへ
-
愛知県
ボーズガレージ 様※お問い合わせはメールにて
-
高知県
パウダー塗装.com 様※お問い合わせはメールにて
-
沖縄県
SMコーティング沖縄 様※お問い合わせはメールにて
ご依頼にあたってのご注意点
ウレタン塗装で仕上げたい場合は、「マグリコート」の後にパウダープライマー(グレー)を塗布してお戻ししますので、その状態からウレタン塗装が可能です。
パウダーコート・ガンコート・結晶塗装で仕上げたい場合は「マグリコート」の後にそのまま塗装可能ですが、マグネシウム専用エポキシプライマーカラーには「ブラック」と「明るめのグレー」の2種類ありますので、どちらの色を使用するか、お客様にてご指示をお願いします。
ウレタン塗装仕上げの場合とそうでない場合の施工費用は異なります。また、金属素地の状態に応じ、どれだけ手を加えるかによって施工費用は異なりますので、正式な御見積りは現物確認後となります。仕上げ塗装まで希望される方は、あわせてご相談ください。
なお、古い塗装はご依頼前にあらかじめお客様にて剥離していただきます。
古いマグネシウムパーツは塗膜の下で劣化が進行していることが多く、マグリコートを進める上で「こんな状態ではなかった」という事態になる場合も少なくないのです。
また剥離した結果、マグネシウムの表面が凸凹に腐食していても研磨できないので、あらかじめ元の状態を把握して頂くためにも剥離はお願いしています。
マグネシウムの表面が荒れていても化成処理とプライマー処理は可能です。もしパテによる修正を必要とされるなら、プライマーの上にパテを入れることができます。ただしこの場合、パウダーコートの焼付温度は厳しいでしょうから、ウレタン塗装で仕上げるのが無難です。
その他、費用や納期など、各施工店様にお問い合わせください。