絶縁体にパウダーコートできる!?
粉体塗装の大前提を覆す
革新的なプライマーです
鉄やアルミなど電気を通す素材だから塗装できるというのがパウダーコートの常識です。しかし工業製品の製造現場だけで使われていた材料をフィードバックしたサイキックプライマーがあれば、石でもガラスでもパウダー塗料が付着する超自然現象!! が実現します。パウダーの可能性を広げる、カーベックでしか販売していない画期的な製品です。
パウダーがあれば仕事の幅が広がります!
「幅」で思いついた絶縁体の塗装
静電ガンで電荷を与えられた粉末塗料と被塗物の電位差を利用して、塗料を付着させるのがパウダーコートの原理です。これを簡単に言い換えれば鉄でもアルミでもステンレスでも、塗装する相手が通電するからパウダーが載るわけです。
独自設計の静電ガンやパウダー塗料の販売をするようになり、パーツ形状が複雑でも塗り残しなく容易に塗装できることや、強靱で剥がれにくい塗膜のこと、また実用面だけでくカスタムペイントにも対応することなど、さまざまな特長をアピールしてきました。
カーベックを利用するユーザーは自動車やバイクなどオートモーティブ系の業者やショップですが、新たな機材を導入することで事業の幅を広げたいと考える方も少なくありません。そして私たちはそうした方々に「パウダーコートの設備を導入すれば、ガーデニングや建築系の仕事も増えますよ」と伝えてきました。
実際、庭のフェンスや一品物のダイニングテーブルの足、屋外に設置する看板などパウダーコートの特性を活かした塗装仕事が新たに増えたペイントショップは少なくありません。オートモーティブ系以外の需要については私たち自身も予測できなかったのですが、なかでも「人工大理石にパウダーコートしたい」と相談されたときは驚きました。なぜなら自動車やバイクのパーツ、家具や建築物であったとしても、パウダーを塗るのは金属だという心理的前提があったからです。電気を通さない人工大理石なんて、パウダーを知った私たちからすればそもそも眼中になく「そんなの塗れませんよ」で片付ける話でした。
もちろん、180℃の焼付温度で溶けてしまうプラスチックやゴム類などは、電気が通るか通らないか以前の問題でパウダーコートはできません。しかし考えてみれば、パウダーコートがあれば仕事の幅が広がるとアナウンスしながら、焼付乾燥に耐えられるにも関わらず不導体であるという理由で塗れないと門前払いしてしまえば、パウダーコートの可能性を自ら狭めることになってしまいます。
そこで私たちは発想を逆転させ、パウダー塗料が付着する下処理剤を探しました。相手が不導体であっても、塗ることで導電性となるプライマーが欲しい。液体の塗料でも静電気を帯電させて金属部品を塗装できる「液体静電」という塗装方法は実用化されていますが、これは上塗り塗料の話であり、下地のプライマーに導電性を持たせた製品はなかなか見つかりませんでした。しかし最終的に、工場の生産ライン向けに開発された一液性の特別な通電プライマーにたどり着きました。一般的な鈑金塗装やパウダーコートでは需要がないため市販はされておらず、開発したメーカー自体も半信半疑でした。
なんとか説得してテスト用のサンプルを入手、素焼きの植木鉢で試してみたところ、プライマーをスプレーした上にパウダーが面白いほど付着するのです。そして通常のパウダーと同様に180℃で焼付乾燥すると、硬化した塗膜は完全にパウダーコートの性能を発揮したのです。駐車場の車止めに使われるコンクリートブロックをオレンジ色で塗ってみると、パウダー塗膜が厚いため視認性が良好で擦れにも強いことが分かりました。
塗料メーカーにとっては全く想定外の使い方ですが、まるで超能力でも使ったかのように不導体にパウダーコートできるようになることから「サイキックプライマー」と名付けて製品化したのです。
ガラスや瀬戸物だけでなく
再塗装にも使えます
塗るだけで導電性となるサイキックプライマーは、石材やガラス瓶や石膏、さらに180℃の焼付温度に影響されない樹脂にもパウダー塗装ができる画期的な通電プライマーです。私たちはこれで「パウダーコートで業務の幅が広がります」というかけ声に応えることができたと考えていました。
しかし思わぬところから、サイキックプライマーの性能が注目されることになります。ホイールの再塗装を行う際は、古い塗装を剥離してサンドブラストで下地を作り、ハイブリッドプライマーを塗った上にパウダーコートを行うことを推奨しており、この手順に従えば最高の仕上がりになるのは疑う余地はありません。ところが、再塗装の状況によっては元の塗装を残しておいた方が都合が良い場合もあるのです。
例えば新車で購入したばかりの純正ホイールや、アフターマーケットのスペシャルホイールを装着する前に自分好みのカラーに変更したい時などは、高品質なメーカー塗装を剥離するのはもったいない。特に強烈に酸化しやすいマグネシウムホイールの場合、ホイールメーカーの下処理が残っているなら剥離したくないのが本音です。
とはいえ既に塗装されたホイールは塗膜の樹脂成分によって導電性は皆無となっており、その上からパウダー塗料を載せるのは至難の技です。またハイブリッドプライマーは金属面への密着は非常に良好ですが、塗装面への直接塗装では本領を発揮できません。
これに対してサイキックプライマーは金属だけでなく、樹脂やガラスなど多様な素材に対して密着性が良好で、塗装の上にペイントしてもしっかり定着します。ここまで説明したとおりサイキックプライマーによって導電性が確保されれば、パウダー塗料は面白いほど容易に塗着するので下地を活かしたまま再塗装ができるのです。
サイキックプライマーは不導体をパウダーコートしたいという目的で製品化した製品ですが、オートモーティブ系のパウダーユーザーにとっても予想外の福音をもたらしました。私たちは常に、大規模・大量生産に最適化された工業生産技術をダウンサイジングして補修やカスタム業界に提供し、少数・少量であっても質の高い仕事をできる環境や材料を提供することを心がけています。私たちカーベックだけが販売できるサイキックプライマーは、先鋭化された工業用技術からのフィードバックに他ならないのです。
サイキックプライマーとは
粉体塗装専用の通電プライマーです。
通電しない(アースが取れない)石材や石膏、ガラス製品、耐熱樹脂などには粉体塗装の施工は出来ません。
そのような部材を、通電可能な状態にし粉体塗装施工ができる状態にするために塗布する画期的なプライマーが、この「サイキックプライマー」です。
※粉体塗装の焼付乾燥温度に耐えられない部材への塗布は不可です。
使用方法
主剤に対して30~50%のシンナー希釈でご使用ください。
セッティング20分後に、粉体塗装の施工が可能です。
サイキックプライマーの使用例
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塗装前下処理剤について
塗装と密着力の相関関係
どのような状況でも塗装が剥がれた場合は、塗料が悪いと考えられがちです。確かに、塗料の種類によって耐久性やストロングポイントは異なります。
その塗料の持つ基本的なポテンシャルに差があるとしても、塗装前下処理方法で密着力や耐久性が大きく左右することも忘れてはなりません。
サンドブラストやペーパーによる足付け作業、十分な脱脂、既定の乾燥条件を遵守するなどは当然のことですが、プライマーの使用や化成処理で更なる密着効果を向上させ、塗膜性能のポテンシャルを最大限に発揮することが可能です。