旋風を巻き起こした「MASTER PRO」から10年。
カスタムペイント業界から量産まで
幅広く対応できるパウダーコーティングの新星
「POWDY SYSTEM LINE」
色替えが容易なカップタイプのコロナガンと、80種類を超える多彩なカラーバリエーションのパウダー塗料の組み合わせで、「パウダーコーティングでカスタムペイント」という新たな市場を開拓したカーベック。その第二弾となるのが、多くの塗料を連続的に塗布できる「POWDY SYSTEM LINE」です。カップタイプの「POWDY MASTER PRO」で培ったノウハウを投入したシステムタイプの塗装機は、カスタムペイントから工業系の量産まで多くの分野で最高の仕上がりを実現します。
開発ストーリー
カップタイプのコロナガンで
カスタムニーズの基礎を固めて
満を持してシステムタイプの開発に着手
携帯型タンクを使用することでPOWDY MASTER PROと同様に細かく色替えを行う際のクリーニング作業の手間が軽減されます。その上でコントローラーで細かな調整、設定ができるので、パウダーコーティングでカスタムペイントを行うには最適です。
タンクの底部は空気を通しながらパウダー塗料を漏らさない特殊フィルター仕様で、タンク内の空気の流れを適切に保ちます。
キメの細かい粉状のパウダー塗料を静電気を利用して金属パーツに振りかけ、180℃の高温で15~20分間焼き付けるだけで塗膜に変化するパウダーコーティング=粉体塗装。溶剤塗料に比べて塗膜が厚い上に強靱で、塗装作業が容易で無溶剤で環境にも優しいことから、工業界で多用されてきた技術です。
カーベックでは、パウダーコーティングの特徴は大量生産を行う工業界だけでなく、個人ユーザー向けのカスタムペイントでも有効だと考え、十数年前からPOWDY MASTER PRO(パウディ・マスター・プロ)を販売してきました。
当時、パウダーコーティングの機材は据え置きタイプのコントローラーと大容量の塗料バケット、そこから長いホースでつながったコロナガン(静電ガン)がセットとなったシステムタイプが主流でした。これは毎日同じ色を塗り続ける工場では便利ですが、1日で何度も色替えを行うこともあるカスタムペイント業界では、経路内の塗料の入れ替えや洗浄が大きな手間となります。
そこで私たちは、塗料カップを一体化した専用のコロナガンを使用することで色替えの煩雑さを解消、カラフルなパウダー塗料を気軽に使い分けすることでパウダーコーティングによるカスタムを提唱しました。
もちろん当初から「パウダーでカスタム」という概念やニーズがあったわけではありません。しかし私たち自身がパウダー塗料のメリットを理解する中で、これをカスタムに使わない手はなく、ペイント業者にとっても他店との差別化を図ることができる武器になると考えました。
しかし工業用のシステムタイプでは色替えがいかにも面倒というところから、カップ式ガンの発売を始めたところ年を追うごとに認知度が高まり、ユーザーも独自のテクニックでパウダーカスタムを表現してもらえるようになっています。現在では、ソリッド用、メタリック用、クリア用と3種類のガンを使い分けているユーザーもいるほどです。
コロナガンを使い分ける理由の一つが、他色との混合の防止です。カップ式ガンはシステムタイプに比べて塗料の搬送経路は圧倒的に短いですが、色替え清掃時に取り切れなかったメタリック色の金属粉がソリッド色に混ざる可能性はゼロではなく、トップコート用のアクリルクリアの粉末がポリエステル系の上塗り塗料に混ざるとハジキの原因になるため、仕事量が多くこだわるユーザーほどガンの管理を厳密に行っています。ガンの使い分けを行う方の中からは「どの色の上にも塗装するクリアは消費量が多いので、カップタイプよりたくさん塗装できる機械が欲しい」というリクエストの声もありました。
さらにPOWDY MASTER PROが普及する中で、想定していた小ロットのカスタムペイントだけでなく、自動機を使うほどではない中小企業の工場のセミ量産や工業界からの引き合いも増え、そうした業界からも頻繁に補充が必要なカップタイプではなく、連続的に作業できるシステムタイプを求められることが増えてきました。
私たちはこの10年、パウダーコーティングによるカスタムペイントという市場を開拓するためにカップ式ガンにこだわり、これ一本でやってきました。ここにきてカーベックにシステムタイプの要望が寄せられるのは、マーケットが熟成してきた証拠とも言えます。
POWDY MASTER PRO開発の時点で、工業界にシステムタイプの塗装機が存在していることはもちろん知っていました。しかし大メーカーが先行している市場に、パウダー業界で認知度のないカーベックが参入しても勝ち目などありません。そこで私たちはこの10年間カップ式ガンに固執し需要を掘り起こした上で、システムタイプ=POWDY SYSTEM LINE(パウディ・システム・ライン)の開発に着手することにしたのです。
パウダーコーティングの要、
コロナガンとトリボガンについて
パウダーコーティングは粉末状の塗料に負の電荷を与えて、塗装する金属パーツに静電気を使って塗着させるのが特徴で、静電ガンの性能は塗装の優劣を決める大きな要因になります。システムタイプの塗装機は据え置き型のコントローラーで電圧と電流を設定して静電ガンに送り、パウダー塗料はコントローラー基部のバケットからホースで搬送されます。これに対してカップ式ガンのPOWDY MASTER PROはコントローラーも塗料カップもガン本体と一体化しています。
ところでこの静電ガンは「コロナガン」と「トリボガン」の2種類に区別されます。POWDY MASTER PROもPOWDY SYSTEM LINEも、採用しているのはコロナガンです。このタイプはガンの内部に搭載された静電気発生装置によって、強制的にパウダー塗料に電荷を与えて噴霧します。静電気の強さは任意に変更でき、パウダー塗料の種類によって調整できます。またPOWDY MASTER PROのように塗料カップとガン本体が接近した構造でも、電気的に静電気を与えるため安定的に塗装できるのも特長です。
一方トリボガンは、パウダー塗料の経路を長い樹脂パイプとすることで、その中をパウダーが通過する際に静電気を帯電させ、外部に静電気発生装置を持たないのが特長です。トリボガンは主に工場内の量産設備として用いられ、長いパイプ内に塗料を通すことでパウダー粒子がムラなく均等に帯電することで、均一な塗着が得られるのがメリットです。ただしホースの長さや塗料を送る圧力、パウダー塗料の粒度によって静電気の大きさが変化するため、一定の条件で塗装する量産現場に適しています。
ところが安価なDIY向けガンの中にもトリボガンも存在します。エアーダスターほどの短いガンの内部にパウダー塗料を通過させる際に帯電させるように設計されているようですが、実際にはあまりうまくいかないようです。私たちにもしばしばそうした質問がよせられますが、構造的に推測すればおそらく3000~5000ボルト程度の静電気しか発生していないと思われます。
私たちのコロナガンは、POWDY MASTER PROもPOWDY SYSTEM LINEも10万ボルトの電圧を発生します。これは大手メーカーと同スペックで、パウダー塗装機の中でもトップクラスです。ハンディタイプのトリボガンで落胆した方は全員、私たちのガンで施工すると一様に驚愕されますが、元来トリボガンは入念に調整された工場向けのパウダーガンであり、DIYでクオリティを求めるのは難しいことをご理解いただきたいです。
機能を増やしすぎてユーザーを惑わさないよう
ニーズを的確に判断してコントローラーを設定
ファブレスメーカーの立場から海外で生産し
自社ブランドで販売、アフターサービスまで
対応する体制を確立
システムタイプのパウダー塗装機を販売するメーカーは日本と海外に数社あるのは先に述べた通りです。それらが自社工場を持つのに対して、カーベックは「ファブレス(fabless)メーカー」です。ファブレスとは工場(fabrication facility)を持たない(less)企業という意味で、自社で工場を所有せず自社で企画開発した製品を海外の外部企業に製造委託するメーカーを指します。、私たちに身近な人気スマートフォンを製造するメーカーも代表的なファブレスメーカーのひとつです。
私たちは海外のメーカーに自社製品の製造を委託していますが、そのメーカーの製品を購入して輸入販売するわけではなく、私たちが仕様を決定してさまざまなテストを行い、納得できる性能を発揮できる製品として販売しています。
POWDY SYSTEM LINEの製造にあたっても、コントローラー、ガン共に我々の規格に応えられるメーカーを探して製造を行っています。私たちは大きな有名メーカーに対して規模こそ小さいですが、製品の隅々まで内容を理解している自負があり、それが大きな強みであり特徴でもあります。
未経験の分野の設備を導入した場合、最初はどうしても使いこなせずメーカーに問い合わせすることも多くなります。コロナガンやコントローラーなど機械の性能が優れていても、先に挙げたようにセッティングや微調整は不可欠で、洗濯機やオーブンレンジのように買ってきてすぐに使える物ではありません。
ここで重要なのは、パウダー塗装機を製造販売するメーカーは機械のプロであることは間違いありませんが、ユーザーが直面するようなさまざまな条件でパウダーコーティングを行っているわけではないことです。そのため、「アルミホイールを3コートで塗る時にはどうすれば良いか?」という実践的な質問には答えることはできないでしょう。スポーツタイプの新型車を購入した後で、自動車メーカーのディーラーに「富士スピードウェイでのライン取り」を質問しても答えようがないのと同じです。
また、代理店や商社が介在するメーカーの製品だと、メーカーに直接聞きたい疑問や悩みが伝言ゲームになって伝わらずジレンマを覚えたり、場合によってはせっかく導入した機器を使いこなせず諦めてしまうユーザーも少なくないようです。
カーベックでは自社で開発したPOWDY SYSTEM LINEを直接販売するため、使い方に関するレクチャーができるのはもちろん、パウダー塗料の販売も行っているため具体的な塗装方法に関しても多くの実践例を蓄積しています。加えて言えば、サンドブラストや化成処理などの前段階から、CVシリーズを使った焼き付け乾燥まで総合的にアドバイスできますし、ユーザーの立場からすれば電話一本ですぐに問題が解決できるノウハウを得られるのが圧倒的なメリットとなるでしょう。これがメーカーでありディーラーであり、なおかつアフターサービス部門まで一体化しているカーベックの最大の強みです。
小回りの利くPOWDY MASTER PROとセミ量産まで対応できるPOWDY SYSTEM LINEでは得意分野が異なります。すでにPOWDY MASTER PROをご利用頂いているユーザーにとってはコロナガンの追加による作業効率向上、事業の拡大をお約束でき、新たにパウダーコーティング導入を検討される方にとっては新分野への拡張をお手伝いできるのがPOWDY SYSTEM LINEです。